062987 ランダム
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♪わさわさの妄想部屋♪

♪わさわさの妄想部屋♪

水面下~金~

人はいつか 「現実」から「白」へ辿りつく


――何だ……? これは……

僕はこんなものは求めていない……!
こんなもの いらない
やめろ
やめろ
僕の中に 入ってくるな……!

消えろぉ!


――「金」
それは 水面下が奏でる 最終章
「銀」が縦だとしたら 「金」は横
そこは 人の介入は許されない聖域

少年は 拒絶した――


すべてが蘇る

己の無力さに怯えた「現実」
常に付き纏っていた「罪」
人を豹変させてしまう 戦場と言う名の「恐怖」

そしてこれはなんだ?
僕は 包まれているのか?

暖かい
心地よい

消えてしまいそうになるくらい すべてを忘れさせてくれる

……忘れる?
何を?

そうだ 自分で思い出せるならそれは忘れていたのではない
ただ 「記憶」から引き出したに過ぎない

だから 何を忘れたのか分からないなら
それは錯覚だ
元から 忘れるものなんて なかったんだ

僕は この暖かさに 包まれていたい

何も 「恐怖」もない
ずっと――
ずっとここに――


――それを 二度と離すな


……あれ?


――俺は お前だ


……あ……


――お前の「正義」はなんだ?


……あ……!


――愛する人のために 戦うこと


っ!

また 全て蘇る

己の無力さに怯えた「現実」
常に付き纏っていた「罪」
人を豹変させてしまう 戦場と言う名の「恐怖」

いやだ
そんなもの 感じたくなかった
ずっと ずっと 笑っていたかった
だけど 感じてしまった

だから 忘れてはいけない

――それを受け入れたとき
お前は また 強くなれる
惑わされるな
お前の「白」は そこにはない

抗え 神さえも
お前の 「正義」を翳して

嵐を飛ぶ 白燕のように


――……


……また 助けられちゃったね


……助ける というのは適切じゃないな
――俺は お前なんだから


……僕 「白」にたどり着けるかな?


……はっ もうそこだよ……



――「金」
それは人の手に届くことはなく
人が手にしてはいけなくて
人にとって 必要ないもの


――そんなもの無くても ほら
空は綺麗だよ


それは誰が言った言葉か
もう 空など見ることはないのに……


……自分の ことじゃないか……


そして少年は「白」へ辿りつく

最果ての地を超え 己の「正義」を貫き
神に抗った末に 少年が得たものは……

そして水面下は 鏡のように静まり返る
それは 「白」という終焉を見せるための静けさか
「時」という概念を超え 少年が描いた軌跡が
終わりを告げようとしている

男は何も言わない
ただ 少年の行く末を見守るだけ


~貴方に 「白」はありますか?



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